対GDP比で見た輸入・輸出・純輸出の推移(1955-2010年)

グラフを見ると高度成長期(1955-1973年)に貿易赤字から貿易黒字に転じたことが分かる。しかしGDPに占める純輸出の割合は1986年をピークとして、プラザ合意以降の円高で1987年以降は緩やかな低下傾向にあるようだ。

2002-2007年の好景気(いわゆるいざなみ景気)は「外需依存の経済成長」と言われ、アメリカ向けの輸出の伸びが続いていたことが好景気の最大の要因と指摘されている。ただ、同期間においてGDPに占める純輸出(輸出−輸入)の割合が高まっていたわけではなく横ばい傾向だった。しかし、当時はGDP比の割合で見て輸出も輸入も同期して著しく高い伸びを見せている。これはいざなみ景気は原材料や半製品を輸入し完成した製品を輸出するという加工貿易モデルでの経済成長だったことを如実に示していると言えるのではないだろうか。よって、純輸出対GDP比は横ばいだったものの、「輸出主導の好景気」だったという事実認識はおそらく正しいと言える。